🇮🇪 アイルランド Ireland〔演劇〕
出典:倉橋 健『日本百科大事典』第1巻(小学館, 1962)
🔹アイルランド文芸座(Irish Literary Theatre, 1899)
1899年にW.B.イェーツ(William Butler Yeats)とグレゴリー夫人(Lady Gregory)によって設立。アイルランド文化と民族精神を演劇で表現することを目指した。
▶ W.B.イェーツ(William Butler Yeats, 1865–1939)
- 象徴主義詩人・劇作家。1923年ノーベル文学賞受賞。
- 神秘思想とケルト神話に傾倒し、アイルランド文化復興を牽引。
▶『キャスリーン伯爵夫人』(Cathleen ni Houlihan)
老女の姿をしたアイルランドが若者の犠牲によって若返るという象徴的な劇。
国家への献身を描くナショナリズム演劇の代表作。
🔹アイルランド国民演劇協会(Irish National Theatre Society, 1902)
文芸座の理念を発展させた形で1902年に設立。アイルランド独自の演劇文化の確立を目指す。
▶ グレゴリー夫人(Lady Augusta Gregory, 1852–1932)
- 貴族出身。民話をもとに英語の短編劇を創作。
- 劇団運営の実務を担当し、演劇界の母とも呼ばれる。
▶ J.M.シング(John Millington Synge, 1871–1909)
- アラン諸島の生活を取材し、農村の日常と言語を再現。
- 『海へ騎りゆく人々』『西の国のプレイボーイ』などで知られる。
▶ A.E.=ジョージ・W・ラッセル(George William Russell, 1867–1935)
- 筆名「A.E.」で活動。詩人・画家・神秘思想家。
- 思想的支柱として民族文化の精神性を重視。
🔹民族的な作品の特徴
アイルランドの農村生活、民間伝承、宗教、神秘思想を題材に、独自の文化を再認識させる。
英国支配に抗する文化ナショナリズムの表現としての演劇が中心。
🔹アベイ劇場(Abbey Theatre, 1904)
ダブリンに開場した国立劇場。文芸座および国民演劇協会の拠点として、イェーツ、シング、グレゴリーらの作品を上演。
1907年の『西の国のプレイボーイ』上演時には市民の抗議運動「アベイ騒動」が起こった。
🔹アルスター劇場(Ulster Theatre, 1919)
北アイルランド(アルスター地方)の演劇活動の中心。
地域文化の自立を目指し、プロテスタント系市民による独自の演劇活動を展開。
🔹アントワーヌの自由劇場(Théâtre Libre, Paris, 1887)
アンドレ・アントワーヌが設立した自然主義劇場。
写実的演出・自主運営などで近代市民劇場の先駆けとなり、アイルランドのアベイ劇場にも理念的影響を与えた。
文書生成:ChatGPT氏
生成依頼者:ASADA Misuzu
参考:『日本百科大事典』(小学館, 1962)第1巻「あーいた」